紅白歌合戦の始まり
戦争直後の昭和20年(1945) ラジオで1月3日に放送された紅白音楽試合が第1回目の紅白歌合戦ともいえる番組でした。当時はアメリカのGHQの支配下にあり、敗戦国がバトル(合戦)という名前を使うのはけしからんということで、マッチ(試合)になったそうです。
第1回紅白音楽試合
会場:東京放送会館第1スタジオ
出場歌手
紅組 | 白組 | ||
赤坂小梅 | 三池炭鉱節 | 近江敏郎 | 湯の町エレジー |
暁テル子 | リオのポポ売り | 楠木繁夫 | 紅燃ゆる地平線 |
菊池章子 | 母紅梅の唄 | 東海林太郎 | 赤城かりがね又は国境の町 |
菅原都ヅ子 | 憧れの住む街 | 鈴木正夫 | 常盤炭鉱節 |
二葉あき子 | 星のためいき | 鶴田六郎 | 港の恋唄 |
松島詩子 | 上海の花売り娘 | 林伊佐緒 | 銀座夜曲 |
渡辺はま子 | 桑港のチャイナタウン | 藤山一郎 | 長崎の鐘 |
1時間放送で7組出場されました。
当時の売れっ子歌手代表してお三方について紹介
近江敏郎さんは武蔵野音楽学校(現:武蔵野音楽大学)中退後、売れない歌手としてレコード会社をてんてんとしましたがポリドールレコードで専属歌手となりました。しかしぱっとせず古賀政男さんの門下生となり霧島昇さんのために作曲した”湯の町エレジー”を(古賀さんの意向)レコーディングして大ヒットしました。お兄様は新東宝、大蔵映画社長、お姉さんはコロムビアの専属歌手 香取みほ子さんです。今でいうイケメンで人気がありました。
渡辺浜子さんは武蔵野音楽学校(現:武蔵野音楽大学)卒業後は横浜高等女学校の音楽教師をされてました。ビクターでもデビューされていましたが昭和19年(1934年)J.Oスタジオ映画”百万人の合唱”に出演の為、学校を休んだことが問題となり保護者が学校に抗議。新聞にも出たため、昭和10年秋に教職を辞めビクターの流行歌手に専念することになりました。ここでも“ネエ小唄”が娼婦のような、なまめかしい歌い方だと内務省からクレームが来て1年間の休職になりました。コロンビアに移籍して”蘇州夜曲”などヒットを飛ばし、戦後は”サンフランシスコのチャイナタウン”が流行りいまだに歌われています。
藤山一郎さんは東京音楽学校(現:東京芸術大学)卒のバリトン歌手として本名で声楽家としも活躍されていました。”丘を越えて・青い山脈・長崎の鐘”など大ヒットした国民的歌手です。紅白歌合戦の最後にホタルの光を皆で歌う時、タクトを振られていた(指揮する)ことが記憶にある方も多いかと思います。
ほかの方々も売れっ子歌手だったのでそれがラジオで聞けるとあって、かなり好評だったようです。 そんなわけで第2回は30分拡大し90分の放送となりました。
第2回紅白音楽試合
会場:東京放送会館第1スタジオ
出場歌手
紅組 | 司会:丹下キヨ子 | 白組 | 司会:藤倉一郎アナ |
2:暁テル子 | 東京シューシャイン・ボーイ | 初:伊藤久男 | 山のけむり |
初:池真理子 | 恋の街角で | 初:宇都見清 | さすらい旅路 |
初:笠木シヅ子 | 買物ブギ | 初:岡本敏郎 | 憧れの郵便馬車 |
初:久保幸江 | ヤットン節 | 初:霧島昇 | 赤い椿の港町 |
初:越路吹雪 | ビギン・ザ・ビギン | 2:鈴木正夫 | 豊年踊り |
初:条町子 | 東京悲歌 | 初:瀬川伸 | 上州鴉(じょうしゅうからす) |
2:菅原都ヅ子 | 江の島悲歌 | 初:竹山逸郎 | 愛染橋 |
初:轟夕起子 | 腰抜け二丁拳銃 | 初:津村謙 | 上海帰りのリル |
初:平野愛子 | 虹よいまでも | 2:鶴田六郎 | 航海シャンソン |
2:二葉あき子 | モロッコから来た女 | 初:灰田勝彦 | アルプスの牧場 |
初:三原純子 | しのび泣く雨 | 2:林伊佐緒 | ダコダの黄昏 |
2:渡辺はま子 | 桑港のチャイナタウン | 2:藤山一郎 | オリンピックの歌 |
司会も紅白ともにつき、出場歌手も12組となり本格的になってきました。ちなみにこの年は松島詩子さんが交通事故にあい、代役として越地吹雪さんがビギン・ザ・ビギンを歌われました。また、”命くれない”を歌った瀬川瑛子さんのお父様の瀬川伸さんも出場し、上州鴉(じょうしゅうがらす)を歌われています。
ラジオからテレビ番組への移行
そして第3回まで1月3日にラジオ放送されていましたが。昭和28年(1953年)2月1日からNHKはテレビ放送開始することになりました。紅白音楽試合も開局記念にラジオ番組からテレビ番組へ変わることになりました。その為、狭いラジオスタジオから広い会場をどこか押さえようという運びになったものの、正月にしかも音楽番組ができるような広いホールはそんなに数あるわけでなく、どこも満員で確保できなかったようです。
昭和28年第4回からは年末にテレビで紅白歌合戦が放送されることなりました。時期的に会場がすいていて押さえやすいということで年末に開催となり、日本劇場が会場に選ばれました。出場者の一部は番組が終わって帰宅するのに電車が走っておらずそのまま会場に泊まる方もいたとのことです。そんなわけで昭和28年(1953年)は、正月にラジオ放送があり年末にテレビ放送があったようです。
ソロ歌手の時期からグループ歌手出場容認
昭和32年(1957年)までソロ歌手しか出場できませんでしたが、翌年の1958年からはグループの歌手の出場が認められました。
第8回紅白歌合戦
出場歌手
紅組 | 白組 | ||
4荒井 恵子 | 橇は飛ぶよ | 7岡本 敦郎 | 若人スキーヤー |
2松山 恵子 | だから言ったじゃないの | 3曾根 史郎 | 初めての出航 |
8松島 詩子 | 喫茶室の片隅で | 5霧島 昇 | 白虎隊 |
3雪村 いづみ | ヤキティ・ヤック | 3小坂 一也 | 心にしみるブルース |
初築地 容子 | 青い月夜のランデブー | 2三船 浩 | 夜霧の滑走路 |
初藤本 二三代 | 夢みる乙女 | 初神戸 一郎 | 銀座九丁目水の上 |
3織井 茂子 | 夜が笑っている | 8津村 謙 | 霧雨のけむる道 |
6江利 チエミ | さのさ節 | 初フランキー堺 | 男はよわい |
初神楽坂 浮子 | 三味線フラ | 初三波 春夫 | 雪の渡り鳥 |
4越路 吹雪 | マ・プティット・フォーリー | 2フランク永井 | 西銀座駅前 |
3大津 美子 | 銀座の蝶 | 2若山 彰 | 氷海越えて |
9二葉 あき子 | 夜のプラットホーム | 8林 伊佐緒 | そっとこのまゝ |
2藤沢 嵐子 | ママ恋人が欲しいの | 2ジェームス繁田 | ヴォラーレ |
7渡辺 はま子 | 長崎のお蝶さん | 7伊藤 久男 | イヨマンテの夜 |
3中原 美紗緒 | 河は呼んでる | 3旗 照夫 | 碧い空 |
7奈良 光枝 | 晴着のかげに | 3三浦 洸一 | 街燈 |
初石井 好子 | ゴンドリエ | 4芦野 宏 | 風船売り |
3コロムビア・ローズ | プリンセス・ワルツ | 3藤島 桓夫 | 凧タコあがれ |
5ペギー葉山 | 年頃ですもの | 6笈田 敏夫 | オール・ザ・ウェイ |
2楠 トシエ | 銀座かっぽれ | 3若原 一郎 | おーい中村君 |
5淡谷 のり子 | ばら色の人生 | 6ディック・ミネ | 私の青空 |
初水谷 良重・東郷 たまみ・沢 たまき | アレキサンダーズ・ラグタイム・ バンド | 初ダーク・ダックス | ともしび |
2島倉 千代子 | からたち日記 | 4春日 八郎 | 別れの燈台 |
5宮城 まり子 | ジャワの焼鳥売り | 2高田 浩吉 | 勇み肌千両男 |
3美空 ひばり | 白いランチで十四ノット | 3三橋 美智也 | おさらば東京 |
水谷良重・東郷 たまみ・沢 たまきさんのグループが初めて登場しました。
沢たまきさんはその後俳優業もこなしプレイガール(1969-1974 東京12チャンネル)や華麗なる刑事(1977年フジテレビ)などに出演されて、晩年は参議院議員をされてました。
水谷良重さんは大女優水谷八重子を母に、歌舞伎役者14代目守田勘彌を父にもつ名門出身の方です。この方もお母さまの後を継いで新派の女優さんと2代目水谷八重子として活躍されています。
東郷たまみさんは有名画家東郷青児さんの長女で、1970年に二科展金賞を取っていらっしゃる洋画家でジャズ歌手でもありました。
お堅かったNHKの出場制限や歌唱制限
またお堅いことで有名な放送局だったので、過去には青江三奈さんご本人が「初めて”伊勢佐木町ブルース”を紅白で歌ったとき、最初のため息のようなフレーズは歌ってはいけなかった。NHKでも(歌っていいですよ)という風に変わってきたのは最近ですよ」と晩年語られていました。
グループサウンズ全盛期は、あの大人気のタイガースは長髪だから出場できなかったというのは有名です。代表としていつもブルーコメッツだけ出場されていました。短髪だったからですかね?
派手だった出場者の衣装
TV放送が始まり放送時間も長くなってくると花嫁のお色直しのように衣装を途中で着替えたり、普通のステージ以上に華美な(よく言えば素敵な)衣装で出場される歌手の方々が増えました。近年では、美川憲一さんと小林幸子さんの衣装対決などありました。今年はどんなんかねと楽しみでしたね。
2部構成になった紅白歌合戦
毎年趣向を凝らし視聴者が見やすいように頑張ってきたNHK 紅白歌合戦も、1980年代後半からかつて70~80%あった視聴率が50%台へ落ち込んできました。近年は世代間の押しの歌手も幅広く変化し、他局バラエティー番組の面白さもあり、視聴率は下るばかり。平成になったことを機に大きなテコ入れとして2部構成になりました。
2023年の紅白歌合戦
出場者
- 初新しい学校のリーダーズ オトナブルー
- 16Perfume FAKE IT
- 28天童よしみ 道頓堀人情
- 2緑黄色社会 キャラクター
- 3櫻坂46 Start over!
- 初ano ちゅ、多様性。
- 2JUJU 時の流れに身をまかせ
- 4NiziU Make you happy
- 2LE SSERAFIM UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers) -Japanese ver.-
- 9乃木坂46 おひとりさま天国
- 4milet x MAN WITH A MISSION コイコガレ
- 21水森かおり 日向岬〜紅白ドミノチャレンジSP〜
- 35坂本冬美 夜桜お七
- 初MISAMO Do not touch
- 8椎名林檎 ㋚〜さすがに諸行無常篇〜
- 7Superfly タマシイレボリューション
- 初伊藤 蘭 キャンディーズ50周年 紅白SPメドレー
- 初Ado 唱
- 5あいみょん 愛の花
- 46石川さゆり 津軽海峡・冬景色
- 3YOASOBI アイドル
- 8MISIA 紅白スペシャル2023
白組
- 2JO1 NEWSmile
- 6鈴木雅之 め組のひと
- 初Stray Kids CASE 143 -Japanese ver.-
- 初すとぷり スキスキ星人
- 初キタニタツヤ 青のすみか
- 6純烈 だってめぐり逢えたんだ~NHKプラスver.~
- 2BE:FIRST Boom Boom Back
- 9山内惠介 恋する街角
- 36郷ひろみ 2億4千万の瞳~ブレイキンSP~
- 初MAN WITH A MISSION x milet 絆ノ奇跡
- 初SEVENTEEN 舞い落ちる花びら (Fallin’ Flower)
- 初大泉 洋 あの空に立つ塔のように
- 初Mrs. GREEN APPLE ダンスホール
- 初10-FEET 第ゼロ感
- 4Official髭男dism Chessboard
- 14ゆず ビューティフル
- 9三山ひろし どんこ坂~第7回 けん玉世界記録への道~
- 9星野 源 生命体
- 2エレファントカシマシ 俺たちの明日
- 22さだまさし 秋桜(コスモス)
- 6藤井フミヤ TRUE LOVE
- 有吉弘行×藤井フミヤ 白い雲のように
- 16福山雅治 「HELLO~想望」 紅白スペシャルメドレー
特別企画
- ハマいくビートDEトーヒ
- NewJeansNewJeans Special Medley
- 「ディズニー100周年スペシャルメドレー」
- ├ 橋本環奈 浜辺美波いつか王子様が
- ├ 大泉 洋 大森元貴(Mrs. GREEN APPLE) LE SSERAFIMアンダー・ザ・シー
- ├ 山寺宏一 櫻坂46 Stray Kidsフレンド・ライク・ミー
- ├ 生田絵梨花ウィッシュ~この願い~
- └ 紅白有志の皆さん小さな世界
- クイーン+アダム・ランバートドント・ストップ・ミー・ナウ
- YOSHIKIENDLESS RAIN ~ Rusty Nail
- テレビ放送70年 特別企画 「テレビが届けた名曲たち」
- ├ ポケットビスケッツ&ブラックビスケッツYELLOW YELLOW HAPPY~Timing
- ├ 薬師丸ひろ子セーラー服と機関銃
- └ 寺尾 聰ルビーの指環
感想
2023年74回の紅白は構成がすごく良かったですね。3年くらい前あたりから若者向けにかじを切ったNHK。もう見たくないと思っていたら、なんと今回はルビーの指輪あり、ブラビあり、ニジューも踊れる歌だった。エレファントカシマシ歌声が変わらないのでいつまでも頑張ってほしい歌手の一人です。夜桜お七・True love聞けました。いつもこういう感じだといいね。娘さんが朝ドラ出てるけど蘭ちゃんよりどうせならタイガースを出して欲しい。17(セヴンティーン)出すなら香取慎吾も出してほしかったけどジャニーズ絡みがあったから辞めていても難しかったんでしょうね。
2024年の暮れもこんなだといいなー!(^^)!
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