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美醜の大地あらすじ・見どころ

引用:bookmeter

 2016年4月号からぶんか社”マンガグリム童話”で連載中の作品です。途中までをご紹介します。

 原作は藤森治見さんです。年齢などプロフィールは非公開のようです。

*R-18指定じゃないけど暴力的な描写などが山ほど出てきます、よい子は見てはいけない”(-“”-)”

あらすじ

目次

始めから壊れている家族

深見栄一の実家は”木工流通深見商会”という会社で、樺太で材木業を商っていました。製紙会社との取引の為北海道や樺太に広い土地を買っていました。ある日突然融資できないと言われ広大な土地の代金返済に困窮し、大手の帝王製紙会社が買い取りました。

帝王製紙会社の社長の息子高嶋津保親(たかしまず やすちか)が契約の際に来ていて、深見の美人の嫁を一目ぼれしました。「父は何もかも奪いあなた方を潰す気です。巨額な負債だけが残り,一家全員首をくくらないといけなくなる。私の妻になると言ってくれたらあなたの家族が食いつないでいけるよう配慮します。」と申し出ます。このお母さんに選択の余地がなく、幼い栄一は日傘をさしたお母さんが「元気でね。」と言い残し出て行ったことは覚えていました。

保親(やすちか)は優しくしてくれてました。お母さんが北海道の高嶋津家についたその日の夜、義父に侵され祝言(しゅうげん:結婚式)の前に妊娠がわかり、保親(やすちか)に事情を話さざるをえなくなりました。「高嶋津をのっ取る気か売女!」口汚く罵られました。その後女の子(絢子・あやこ)を出産します。

一方会社も土地も奥さんまで奪われた高嶋津家に憎悪を持った深見の父親は、酒浸り自暴自棄になり「孫子の代まで恨んで、恨み殺してやりたい。呪われろ!」という言葉を残し首吊り自殺してしまいます。残された栄一は親戚の医者の家に年上の女の子の婚約者としてひきとられました。まだ子供でしたがその家の母親と娘に性的な暴力を受けていました。

ある日養母と許嫁と栄一の3人はボートに乗って転覆事故に遭います。養母と婚約者は泳げませんでしたが、栄一は助けず二人は帰らぬ人となりました。その後成長した栄一は高嶋津家に対する恨みは忘れず弁護士になっていました。

高嶋津家の絢子(あやこ)の戸籍上の父・高嶋津保親(たやすちかやすちか)は、戸籍上の子供(異母兄妹)の絢子と嫁には見向きもせず空気のように過ごしていました。絢子は父に愛情を感じない日々の中、母から時々数時間から日によっては半日地下室に閉じ込められていました。

母親にも愛されていないのではないかと思っていたある日、祖父から呼ばれ行ってみると「なかなか会わせてもらえなかったが」と我が娘が成長した姿をみて喜んでいました。そして彼女の目の前で母親は祖父に侵され始めました。何故いつも父親が自分たちを無視して通りすぎるのか疑問でしたがそこで絢子は理解しました。「お前が私の子だからだ。」と聞かされます。

保親(やすちか)は栄一の母を抱くことは無く、もっぱら父親の妾としていいようにされているのを見て見ぬふりをしていました。栄一の母親は、義父との性交を終えた後はいつも色とりどりの花に囲まれながら、外の景色を見て泣いていました。今の生活を続けることで残してきた元夫や息子の栄一に害が及ばずに済んでいること、また義父の子供の絢子(あやこ)が夫保親(やすちか)に見向きもされず辛い思いをしていても、母親がいることで皮肉れることなく育っていること。いつまでこの生活に耐えられるのか?

辛い時はいつも赤ん坊の栄一の写真を見ていました。絢子に写真の赤ん坊の話をしました。「遠いところにいるお兄ちゃんよ。お前もお兄ちゃんも私の宝物よ」と言いましたが耐えきれずにカミソリで首を切って自殺しました。絢子も道ずれにしようとしましたが出来ませんでした。「お兄ちゃんの方が可愛いんだ」と絢子はぼんやり思いながら母親から綺麗な血が流れている光景を見ていました。

戸籍上の父親は後妻をもらいましたがそれを境に絢子に対する虐待が始まりました。絢子を鞭で何度も打ち、殴り、食事もろくに与えませんでした。妹・真奈美(まなみ)が生まれ自分が行くと、にこにこ笑ってくれたので叱られても会いにいきました。

そんな日々の中、絢子が虐待されている最中に継母の脚を蹴りかえしました。すると激しく突き飛ばされ失神。気づけば病院にいました。医者は「鞭で打った傷が体中にあること、栄養失調もあり明らかな虐待です。」というが、父親は「どうにか警察だけは・・。妻も反省しておりますし、まだ乳飲み子もおりますので・・。」ともみ消しました。

継母の虐待はおさまったものの(鬼のように人のものは何でも奪い取ってきた父親の子)絢子としては面白くなくなってしまいました。自分が持っていない「なぜ?どうしてあなただけそんなにきれいなままなの?ずるいじゃない真奈美。あなたは、最初から私には与えられなかったものを沢山もっているのに。ああそうかそうすればいいんだ。」

「ねえ真奈美、私にもう一度見せて頂戴」カミソリで妹の首を切ってきれいな血が流れ出すのを見ていました。「何してるの!」と継母が我が子をかばいました。同じように義母の首をカミソリで切りつけると「つまらないあなたのは全然きれいじゃないのね。母様(かあさま)の着物を燃やした罰よ。」そしてランプの油に火をつけました。

戸籍上の父・保親(やすちか)は絢子と少し離れたところから燃えさかる屋敷を見ていました。返り血を浴びた絢子の顔に驚きと恐怖心を抱きました。

市村ハナいじめの始まり

祖父と父が絢子を閉じ込めるために新しい屋敷を建てました。そこで絢子は暮らしましたが年頃になり誰もそんな事情を知らない樺太(カラフト)の女学校へ行くことになります。

女学校で絢子は市村ハナを見つけます。亡くなった妹と同じように”どうしてそんなにきれいなの、教えて!”と興味を持ちいきなりハナの首を絞めます。その日からハナをいじめのターゲットにして追い詰めていきます。物語りはこのあたりから始まります。

そんなにいじめに興味があるわけでもない普通の女学生たちを巧みに使って、ハナの弁当に大量のミミズを入れたり、ラブレターを男性教師に宛ててハナが書いたように送りつけました。学校で飼っていたウサギを殺し市村のネームの入った上靴を置いてみたり、生徒の財布を沢山盗んだように工作しハナを退学に追い込みました。

そして間もなくソ連軍が樺太に攻めてきました。北海道へ行く引揚船には多くの荷物を持っている人は少なく、貴重品を持って乗り込む者がほとんどでした。市村一家が船に乗り込んだところを見計らって絢子が「ドロボーが乗ってきたわ」と言い出し、ハナはお母さんと幼い弟と慌てて下船する羽目になります。

次にやってきた引揚船にやっとの思いでハナ一家は乗り込むことが出来ました。しかし、ソ連軍の攻撃に合い沈没してしまいます。お父さんの位牌と共にお母さんは海に沈んでいきました。弟だけは助けようと引き寄せ一緒に岸にたどり着くと既に亡くなっていました。泣き崩れるハナ。弟を座ったまま土に埋め葬ってやりました。

別人になったハナ

容姿が醜いというだけでいじめにあい家族を失った恨み。復讐を誓ったハナは、顔を隠し売春でお金を貯めました。客の中に鶴田眞蔵(つるた しんぞう)という闇市の商売人がいました。彼から紹介してもらった腕のいいドイツで修行した闇医者・内田に整形を頼み、市村ハナは小石川菜緒子という別人に生まれ変わりました。

この菜緒子という名前は、内田が幼い頃育児放棄された医師の実家から田舎に送られ、そこでの世話係だった姉やの名前でした。内田は幼いながらも頭がよく彼女の境遇に同情していました。そして幼い自分ができるのはこれくらいだとお金を渡し、これで隣町から列車に乗って逃げるよう促しました。しかし、菜緒子は男の使用人達から性的暴行を受けていました。「月のものがないの。あいつらの子供を産むくらいなら・・・。」と、内田に別れを告げ井戸に身を投げて亡くなりました。

整形したハナの顔は、この菜穂子に似ていてかなりの美人になりました。ハナは内田医師から整形手術前に作る元の顔の石膏模型をもう一つ別にもらっていました。お面のようにして復讐現場で使っています。それを見た同級生らは「あ、ハナ。」と気が付く仕掛けになっています。

復讐劇の始まり

最初のターゲット内海敏恵

最初のターゲットは北海道に引揚、親同士の決めた見合い結婚で川上町 大塚旅館の若女将になっていた内海敏江(うつみ としえ)でした。彼女はこの復讐劇にはなくてはならない異常犯罪者に変身していきます。ハナは「戦争で何もかも失い各地を転々としてきました。住み込みの仕事を探しています。」と言って、偶然を装い駅で夫の達夫に接近します。「うちでどうですか」と言われ、下働きとして雇ってもらい旅館に入り込みました。

美人で働き者の菜穂子(=ハナ)は、旅館でもちやほやされ敏恵は苛立ちます。樺太でハナに仕掛けた敏恵のいじめの手口を真似されます。そんなときハナのお面が活躍し敏恵は恐怖におののき眠れなくなりました。翌日お膳を運ぶ菜穂子がハナに見えて彼女につかみかかります。客の前でヒステリックになり菜穂子の髪をつかむ敏恵。夫は菜穂子をかばい女将からもしっかりして下さいと叱られます。

庭先で菜穂子を慰めていた夫の辰雄が、彼女にキスをしているのを敏恵が見てしまいます。どういうことかと詰め寄りますが、辰雄は見合いも乗り気でなかったことやヒステリックな敏恵の性格などをあげて言い訳はしないといい、菜穂子と一緒になろうとします。

こんなことになったのはみんなあいつのせいだと逆恨みする敏恵。入浴中のお客様の財布を盗み、菜穂子の仕業に見せかけている最中、窃盗犯として捕まりそうになり逃げます。大階段からころげ落ち、顔面に激しい損傷を受けて療養所で過ごすことになりました。

療養所では顔を縫い合わせた敏恵を見て、他の患者の面会に来ていた家族が異常さに驚きます。そして敏恵は我慢しきれずそこを飛び出てしまいます。辰雄は菜穂子がいなくなってからもずっと彼女を探していました。

2番目のターゲット小倉百子

2番目のターゲットは小倉百子(おぐらももこ)。樺太(からふと)から引揚、別海町(べっかいちょう)の農村で暮らしていました。女子高時代とは違い農作業等しんどくて汚れる仕事が嫌だと思っていたところ同じ農家の男・長谷川熊蔵(はせがわ くまぞう)との結婚話がまとまっていました。

そんな時期に京一郎という自称”東京の貿易会社の息子”が国道に出る道を百子に尋ねてきます。彼女は親切心から道案内をしてやりました。お礼に京一郎から洋服店に連れて行ってもらい、カフェでお茶をごちそうしてもらったりしました。彼も両親が勝手にいろんなことを決め、代議士の娘との縁談をもってきたからうんざりしているという話をします。意気投合した二人は一緒に遠くに逃げようということになりました。

釧路市に行き服を買ってもらい、映画を観たりボートに乗ったりしました。女学生時代のようにきれいな生活ができたようで百子はすっかりいい気分になっていきます。京一郎は指輪を出し「結婚しよう」というと百子は快諾しました。「今夜僕の部屋に来て欲しい。本当の夫婦になろう」と百子に話します。いざ床入りの時間が来ると彼女は緊張してしまいます。京一郎が「緊張をほぐす、いいものをあげようか」と飴をくれました。その飴で百子はもうろうとしてきました、婚姻届だよここにと言われ百子は書類にサインしてそのまま眠ってしまいました。

翌朝目覚めると昨日の宿とは天井が違っていたのに気が付きます。そして百子の右隣には全裸の熊蔵がいるのに驚きます。「僕との結婚話をほおり出して、こんな淫らな商売をしていたなんて。お金払ったからもう一回やらせてよ」そうです、百子は勝手に作られた自分自身の借金のために遊郭で働くことになりました。騙した京一郎こと菊乃(きくの)はハナの協力者であり、内田医師の助手の看護師でした。 

菊乃は自分の性に違和感を持っていて女になりたいと思っていた少年でした。ブサイクな女男といじめにあっていましたが、それが嫌で軍にも入隊しましたがそこでもいじめにあいました。空襲で体中に大けがをしてしまい、こんなみじめなまま終わるくらいなら生まれ変わってやると思いました。そんな時、収容先の陸軍病院で初めて京一郎をバカにせず、傷を診てくれた医師が内田胤敦(うちだ たねあつ)でした。

「内田中尉、足がお悪いのですか?」京一郎が聞くと、内田は「最近の負傷だが内地を出ずに済むからこれはこれで都合がいい、今 焼夷弾(しょういだん)が落ちてきたら死ぬ身だがな」と言いました。「その時は、あなたを担いで逃げますよ。」 京一郎は自分が”この人を守らなくては”という義務感を持っていました。除隊後、手術によってきれいな女に変身できた後も変わらずそう思い続けていました。かつての自分を見ているようで、ハナのことは他人事とは思えませんでした、そして協力することにしました。

3番目のターゲット奥田スミ子

第3の復讐のターゲットは函館のカフェで働いていた看板娘の奥田スミ子です。女学生の頃ハナの髪を無理やり切ろうとして鼻を切ってしまい血だらけにさせていました。彼女は樺太から引揚後に漁師町の叔父を頼って家族で暮らしていました。けれど納屋での4人暮らしは貧しくて窮屈でした。そんな暮らしが嫌になり、ひとり函館に出て行きました。

勤め始めたカフェでは、美人のスミ子を目当てにやってくる常連客も段々と増えていきました。しばらくして、そのカフェに小石川菜穂子(ハナ)が同僚として働き始めました。スミ子にはなじみの常連客達に、「駅前デパートで新作の香水が発売になるって聞いたの」と次に欲しいものの話をすると買ってきてもらえるようになっていました。

スミ子の家にストーカーからの手紙が毎日届くようになりました。客の代議士秘書からデートに誘われ、もらったネックレスの話などが即座に書かれていたりして、彼女は恐怖におののくようになりました。

店で菜穂子からスミ子が捨てた手紙から誰かに付きまとわれているのではないかと心配されます。美人の自分は特別の存在だと思っているスミ子。同じ美人の菜穂子には自分のこともわかるだろうと相談します。親切な菜穂子目当てで来ていた”月刊 道民”の記者 綿貫晋平(わたぬきしんぺい)は、その手紙を預かって調べることにしました。菜穂子(ハナ)はこのことで足がつき、復讐劇が失敗するのではないかと少し心配顔で彼が店を出ていく後姿を見ていました。

誰かに護衛をしてもらうよう勧める菜穂子。スミ子は多分あの陰気で不細工な中川という常連客が犯人ではないか?とそう思っていたいました。護衛を頼んだ常連客らから中川は待ち伏せされ暴行を受けました。「香水って面かよ。もう二度とあのカフェに来るなよ」という取巻の達中。スミ子を慕う中川は彼女から浴びせるように「気持ち悪いのよ。醜男のくせに。」と言われ、鼻血を流しながら潰された香水の箱とともに道端に座り込んでいました。

彼は貧しい独身の自動車整備工で孤独でした。あのカフェに行くと、奥田スミ子の笑顔を見ることが出来てただ嬉しかっただけの人物です。笑顔のお礼に”なけなしの貯金”をはたいて、スミ子が欲しいと言ったあの香水をプレゼントで渡そうとカフェに来る途中でした。

騒動のあった翌日仕事を終え、店を出たところでスミ子は顔に硫酸をかけられのたうち回ります。「ただ君の笑顔が好きだっただけなんだ」心の醜さを指摘され醜い顔がお似合いだと中川に言われました。包帯を巻かれた顔は取り返しのつかないケロイド(やけど)になっていました。中川は逮捕されました。美人は特別という自負していた顔も見る影もなくなり、療養所に「診まいに来たのはあなただけよ」と記者の綿貫(わたぬき)に言いました。

綿貫は手紙の主は女性だったという調査報告をしてくれました。”自分の未来にあるのは暗黒だけ”と意気消沈したスミ子。窓の下では無邪気に女学生たちが話しながら歩ているのを見て泣いていました。彼女らの隣にハナが立っていました。

スミ子は綿貫が言った”女性が書いた手紙”ということがハナの復讐だと悟り、「許さない!」とミイラのように包帯をぐるぐる巻きにした顔のまま裸足で通りへ飛び出し、走行中の車にはねられ即死しました。事故の野次馬の中、ある女の顔を綿貫は一瞬見ました。「あの女・・。」

事故の新聞記事を見て心配する菊乃がハナを迎えに行こうとしていました。その頃、帝王製紙会社の別荘でも同じ記事を絢子とサチが読んでいました。

亡くなったスミ子の部屋、遺族が荷物を引き取りに来る前記者の綿貫が見かけた女の手掛かりになるようなものを調べに来てました。そして一枚の女学校時代の集合写真を手に入れます。あの女(ハナ)を見つけました。その後、絢子をカフェに呼んで、スミ子の事故現場でハナを見た話をしました。この女に憎まれていたのかなど聞きだそうとしましたが、「亡霊だから探しようがない」と絢子はそう話して帰って行きました。

4番目のターゲット瀬尾サチ

4番目の復讐相手は瀬尾サチ(せのお さち)でした。いつも成績がトップだった彼女は、絢子が2番そしてハナがトップに入れかわり面白くないと思っていました。下校途中ハナからカバンをとりあげ、教科書等をずたずたに切りばらまいて帰っていました。ハナが沈没船とともに亡くなったことを知るとそうやってみじめに死ぬのがお似合いだと思っていました。樺太から引揚ると父親が事業に失敗し、母親は精神を病み自殺していました。残された多額の借金返済の為、身を売っていました。父親のわからない息子進司(しんじ)を産み、冬の町をさまよいながらやっと旭川の祖母の家へ身を寄せます。子供を預け札幌で働いていると偶然絢子に出会いました。

「うちで雇ってあげる。」メイドとして働き口が見つかったと思い喜んだのもつかの間、異常な性癖をもつ夫の白川清二郎(しらかわ せいじろう) の”新しいおもちゃ”としての役目を果たすことが仕事でした。「嫌だったら、逃げれば。」という絢子の言葉に従わず、給金が3倍という現実を取りました。

結婚前の白川は屋敷中の若い女中に手を出していました。ある者は辞め、ある者は行方不明になっていました。この白川の坊ちゃん専属の闇の仕事を請け負う双子の姉弟がいて、遺体などは解体し跡かたもなくどこかに隠滅していました。

そんなある日、血の付いた子供服を餌にハナはサチを沼におびき出します。息子が沼の中に倒れていると思い込んだサチは、助けようと入っていきます。しかし子供ではなく人形でした。だまされたと思った瞬間ハナがとどめを刺そうとします。息子を育てないといけないと命乞いをして助かります。

亡くなった幼い弟を思い出し、どうしても殺せなかったと泣いているハナを、迎えに来た菊乃が抱きしめていました。

5番目のターゲットは女学校教師

5番目のターゲットは、いじめにあっていることを告げたハナを、「人のせいにするな」と殴り退学させた教師の常岡(つねおか)でした。夕張市出身、教師の両親と共に樺太にわたりそこで教職についていました。取材に行った綿貫がハナの消息を訪ねると「貧しい家庭に育ったせいか根性まで卑しく成績は良かったが、いつも問題を起こし他人のせいにしていた。ついに校内で窃盗事件を起こし退学処分になった。」その後は知らないと語っていました。

綿貫の記事の載った雑誌”道民”を読んだハナは常岡の勤務する学校に行きました。ハナと同じ境遇の女学生笹本をめぐる状況を見守っていました。同じようにいじめにあい窃盗の罪を着せられ、常岡から「早く出ていけ、ここはもうお前の居場所ではない。」と突き飛ばされていました。仕方なく学校は諦め、家計を支える為に夜の酒場界隈で下働きをしていました。酔った常岡が笹本が働いているところに通りかかり、「こんないかがわしい所で客でも取っているのか」とバカにして通りすぎました。

悔しくて常岡を道連れに刺して死のうとしましたが、暗闇からハナが声をかけました。振り返っていると、常岡も声かけた闇の人影(ハナ)も消えていました。帰宅すると唯一かばってくれていた女教師の田中が来ていました。無実は証明され退学が取り消しになったことを聞かされました。

常岡はかなり酔っていて帰りの電車に乗ろうと駅のベンチに座っていました。親切な駅員が水をもって待合室にくると常岡はストーブに顔を突っ込んでいました。その事故を機に顔の大火傷と失明から家でふさぎ込むことになりました。

6番目のターゲットは桐谷ヤエ子

列車で移動中、常岡の事故の新聞記事を見ていたところ美人になったハナは2人の男たちに絡まれました。トイレから出る時菜穂子の顔の上にハナのお面をつけてでてくると、疑われず無事に電車から降りることができました。駅前の道を歩いていると、「ハナ」と腕をつかむ者がいました。桐谷ヤエ子でした。彼女は樺太引揚後に、整形前の市村ハナに正面から出会った唯一の同級生でした。「ずっと謝りたかった。あの時助けてあげられなくてごめんね。」と自分を守りたい為に謝っていました。ヤエ子にとびきりの憎悪は持っていないものの、ハナは彼女が復讐の邪魔になると思いました。

服飾の世界で生きていきたかったヤエ子は父親が脳卒中で障害者になってしまい、室蘭女子縫製学校を辞めて根室に帰ってきていました。そして室蘭の水産加工場で働き始めます。ある日、大金の入った財布を拾いました。返そうと思うものの、買いたい服を買い込み裕福を装い、 医者との婚約にまでこぎつけます。

ハナが「その服の胸元が寂しいわね」と言うと、金持ちの老女の家からヒスイのネックレスを盗みました。そしてそれを首にかけ婚約者とその友人たちのいるところへ出かけて行ったところ警察に逮捕されました。拘置所でヤエ子に毎日のように面会し、弁護士の深見栄一は知りたい情報をヤエ子から吸収していきました。その後留置所で首をつってヤエ子は亡くなりました。

ハナの追跡者

敏恵が崩れた顔の診察の為、内田の診療所へやってきていました。「顔を治した後何をする?」彼はいつも患者に同じ質問をしていました。この理由が気に入った患者にだけしか手術しないのでした。敏恵は顔の修復には時間がかかること等説明を受けると、急いでいるんだとばかりに内田を襲いました。すかさず看護師の菊乃が男の腕力で助けました。

こんなところで時間を取っている場合じゃないと敏恵はその場を離れました。ハナを探す為、手掛かりを求めスミ子の勤めていたカフェに向かいました。

協力者深見栄一

ハナは石膏のお面をもう被るのは辞めようと思っていた時に、深見栄一が接触してきます。絢子の樺太でどのように過ごしていたのかを知りたがっていました。彼女は人を殺しているとも言いました。弁護士という職業柄様々な情報が入ってくるためハナが復讐の為、動いていることを”あくまでも自分の想像”と言いながら結構深いところまでつかんでいました。ハナと同様に高嶋津という存在にすべてを奪われた者です、その復讐を手伝わせてほしいと申し出ました。気が向いたら連絡くださいと名刺を渡し去っていきました。

犯罪に手を染めていく同級生たち

ハナの行方を聞き出す為カフェのマスターが敏恵に襲われます。常連客だった記者の綿貫はマスターの火葬に立ち合いました。亡くなった従業員スミ子の事件とマスターの殺人は、何かつながりがあるのか?菜穂子の残していった手鏡と手紙の指紋を鑑定に出すことにしました。個人的な鑑定を刑事の相原に頼み同じ人物のものだとわかりました。

ハナは関係のない人(カフェのマスター)までこの復讐劇に巻き込んだことを悔やみました。深見を呼び出し短期決戦に臨む為、弁護士事務所を辞めてくるように言いました。そしてハナは鶴田が準備してくれた人の出入の無いスナックともえ(活動拠点)に深見を連れて行きました。

鶴田はセフレのハナに急接近してきた深見の過去を調べていました。深見は高嶋津を潰したい。簡単に復讐できるわけもなくまずハナに協力して絢子を落とすことから始めると語りました。

サチは拾った命、生まれ変わったつもりで進司とやり直そうと小樽で働き始めると敏恵が訪ねてきます。祖母しか知らないはずの居場所なのに、袖口の血をみてまさか・・。予想は的中し祖母は敏恵に殺されていました。敏恵はサチの息子を人質にして彼女にハナを探させようとします。

サチはしかたなく敏恵言う通りにすることにしました。事件が落ち着くまで警察に言わないことを条件に新聞記者・綿貫(わたぬき)にハナを探してくれるよう依頼します。

その頃 絢子と白川清次郎の婚礼の衣装の打ち合わせが札幌のデパートで行われていました。協力者になった深見栄一もハナと下見のつもりで同じデパートに来ていました。恐怖心からトイレに行ったハナ。その間 深見は異父兄妹の絢子に衣装のこと等話しかけてみました。

その後、女子トイレで菜穂子(ハナ)と絢子が遭遇します。絢子は敏感に「どうしてそんなにきれいなの?教えて!」そう言って菜穂子(ハナ)を追いかけます。しかし異父兄妹の深見栄一に背負い投げされ階段落ちしました。すかさず側にいた夫の白川は、絢子をかばって落下したところに階段手すりの角があり左目を損傷してしまいました。

白川が左目を無くしたデパートの事件を捜査開始した刑事が、絢子等に事情を聴きにやってきました。あまり犯人につながるような物証も無く、警察も当てにならないと判断した白川と両親は、闇の便利屋の双子に頼み犯人探しを依頼しました。

綿貫のハナ探しが始まりました。情報屋になっていた高校の先輩五十嵐と札幌の白樺出版の前で再会しました。そして”絢子がデパートで投げ飛ばされ夫が左目を損失した話”を初めて耳にしました。綿貫はハナがまた復讐に動き出したことを察知し、次の行動をとり罪を犯す前に見つけたいと思いました。

白川の親が怒っていた為、やんちゃな息子の不祥事をもみ消してきた黒歴史もあり、これからどんな手を打ってくかわからない。五十嵐は仕事がら鶴田に情報を流していました。

深見は怖いと言いながらも復讐を遂げていくハナにひかれていました。「あなたが恐怖に立ち向かう時は必ず私がそばにいますから。」「あなたと私は一心同体、あなたの為なら私は何でもします。」ハナと行動を共にしていた深見栄一は”高嶋津の妾になって娘まで産んだ実母”のことを良く思っていませんでした。どの女も同じだとハナに言い寄って見たものの、ハナは男女のかかわりを持とうとしませんでした。

敏恵はハナを殺そうとする為、いじめの主犯格だった絢子に出資してくれるようお願いにやってきますが、絢子は”ハナを生きたままここへ連れてきて”という条件付きで出資します。

サチは息子を預けていた石崎夫妻の家に向かうが敏恵が二人を殺害していました。サチ,進司,敏恵の3人はその家にしばらく潜伏していましたがここも娘さんから「両親が失踪したのか?連絡が取れない、おかしい」ということで警察と彼女が調査に来るということになりました。すぐに石崎家を引き揚げ高嶋津の屋敷に敏恵とサチは進司を連れ再び行くことになりました。

絢子と遭遇し絶好の復讐のチャンスっだったのに、ハナは自分の弱さから逃げてしまった後悔がありました。路地裏で自分の弱さに菜穂子(ハナ)が涙していたとき綿貫が彼女を見つけました。

刑事の相原からの情報でスミ子宛ての手紙と菜穂子の手鏡の指紋が一致したことを告げ、マスターの死やスミ子さんの事故死と何か関係あるのか?どうして追い詰める必要があったのか?また、樺太の元女学生の名前をあげ色々聞きました。深見は護衛のようにハナを近くで見守っていました。

知りすぎた記者は復讐劇の邪魔になると思い、彼を殺そうと深見が酒瓶で何度も殴りました。ハナの止めるのも聞かず執拗に殴る深見の頬を強くたたき彼を止めました。活動拠点のスナックに戻ると鶴田が深見の手形の付いた頬を見て「よう色男どうした?!」とからかった。

血だらけで路上に倒れていた綿貫は五十嵐に拾われ病院に入院して意識も無く2日間寝たきりでした。入院前に相原からは”深入りしない方がいいんじゃないですか?!”と忠告を受けていました。綿貫自身、完全にこれらの事件から抜けるタイミングをはずしたに違いないと思っていました。何としても菜穂子さんを救い出さないといけないと思う綿貫は傷が回復していないが早いうちに退院しました。

まだ入院中と思っていたサチと刑事相原が同時期に訪ねてきました。老女殺害事件のあった区域の出身のサチとの会話から”怪しい”と刑事の感が働きました。敏恵がまっとうに生きようとするサチを自分の復讐劇に引き込もうと山の中の小屋に連れて行き言い争いが始まります。旭川老女殺害事件(サチの祖母殺害)の犯人か?疑わしい敏恵を尾行してきた相原刑事が連行しようとします。その時側にいたサチは息子の居場所が永遠に分からなくなるという焦りから、相原刑事を背後から刺して殺してしまいます。 

そこに絢子の夫白川清次郎の闇の便利屋・森哉(しんや)と加也(かや)の双子が死体の解体を手伝う申し出をする。デパートで白川清次郎が左目を失うことになった絢子を投げた犯人(深見)を捕まえる為情報を提供する条件付きだった。

早めた絢子への復讐

早々と退院した綿貫に深見は屋台のサケを酌み交わし接近しました。彼を殺すことなく翌朝スナックともえに行くと菜穂子は鶴田に調達してもらった爆薬をもって出かけようとしていました。  

菜穂子(ハナ)はその頃”最後の復讐”を遂げる為札幌に向かいました。鶴田が内田の診療所にこのことを書いたハガキを送っていました。菊乃は復讐を遂げた後ハナはどうするのだろうかと心配しています。それを察して内田医師は「気になっているようだな。行くのか?」というと菊乃は内田の側にいなければという義務感から行かない方を選択しました。

先日も敏恵がやってきて暴れていったこともあり、普段でも患者のことをあまり印象に持たなければ覚えてもいない程かなり厄介な内田を一人にしておくと危険。そう思っての選択だったが、内田は「お前の好きにするといい。」と許可してくれていた。

内田胤敦(たねあつ)の唯一の友人と称する鶴田は、診療所を訪ねてきました。ハナが絢子と接触したことなどデパートでの事件のことを話しました。「もしかしたら連中もここへ来るかもしれねえ。この診療所は金持ち連中の間ではちょっと評判だからよ」菊乃は鶴田が警告していることがわかりました。過去に階段落ちで顔面に損傷を受けた敏恵が整形にやって来たことがあると話したところ「なら。尚更だな。」

帝王製紙会社の別邸はハナの仕掛けた爆弾で爆破されます。しかし死傷者はでませんでした。ハナは大きなダメージが与えられただけでも満足していました。そこにかくまわれていたサチの息子も孤児院にあずけられて無事でした。

瀬尾サチが敏恵に刺殺され顔の皮をはがされた遺体となって発見されます。サチと進司を見ていて、母親とはこういう愛情深いものだったことを思い出し思い入れのあった闇の仕事人、双子弟の森哉(しんや)はサチを殺した犯人を捜し始めました。

あるところでは鶴田と森哉がガチ対決となり双方生死をさまようダメージを受けます。そして森哉は亡くなりますが、姉のカヤは頭を保存し無くなった胴体部分を内田胤敦のものと入れ替えようとします。邪魔な菊乃を交通事故で入院させ診療所を襲い放火します。足の悪い内田は杖を駆使して戦います。

逃げていた敏恵は腐っていく顔を次々に新しい遺体から剝ぎ取って交換していく連続殺人犯になっていきます。              

一方白川財閥は小樽の特殊な地形の所に建築されていたホテルを清次郎と絢子の結婚お披露目した後に経営を任せるということになりました。 そしてそこには復讐を成功させようと物語の主なメンツが集結してきます。

つづく

見どころ

登場人物それぞれに物語がありこの惨劇にどう絡んで行っているかが見どころ

内田胤敦がカヤに狙われていく過程がゾクゾクしました。「危ない、逃げてー!」と叫びたくなりました(*_*)

感想

立体になったコミックの作画を又平面に戻した感じがあり、やっぱり文章よりも映画にしたら絶対面白い作品だと思います。NHKが映像化したらチャレンジャーよね(*^。^*)結末はどうなるんでしょうか?!

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