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にこたま あらすじ・見どころ

引用:zhihu

モーニング・ツー2010年22号~2012年62号,2012年12号~2013年2月号連載された渡辺ペコさん原作の漫画です。めっちゃコミックで読めます。

若くして卵巣を切除して子供が産めなくなった女性の抱える問題と、シングルでも精子バンクなどから精子提供を受け(物語では晃平の避妊失敗による精子提供)子供を持った女性の問題提起にも取り組んだ意欲作。

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目次

あらすじ

同棲の始まり

10年前、浅尾温子(あさお あつこ)と岩城晃平(いわき こうへい)は同棲する部屋を探していました。学生の頃から付き合っていた二人でしたが、温子の方が先に有名新聞社に記者として就職していました。主に彼女の収入で借りるアパートを不動産屋に案内され下見に行きました。

晃平はこだわりが無く、あっちゃんの気に入ったところに一緒に住みたいという男でした。間取りはよく値段も安くていいけど裏が墓地でした。不動産屋が抜けた後、床に寝転んでいる温子は記者の仕事で取材の仕方を上司に叱られたり、同僚から意見された愚痴を晃平に話しました。

弁理士を目指し勉強していた晃平は(俺の足りない力をあっちゃんの必死の労働が埋めてくれているようで。ふがいないや)と思っていました。「俺今年は絶対試験通るから」と頑張りました。見事に合格してコムラ弁理士事務所に就職しました。

晃平の就職・温子の転職

あっちゃんは友人ともよの経営する弁当屋”よねすけ”に転職しました。晃平が出勤する前日の深夜、賞味期限切れ間近の大量の卵を使って、狂ったように3種類の卵焼きを作っていました。翌日のお昼時間に晃平は職場の皆に食べてもらい”どれが美味しかったか”アンケートを取っていました。昼に食欲が無くカロリーメイトを食べようとしている高野女史にも勧めました。彼女はシラスとのりが美味しかったと言っていました。

卵焼きを配る晃平は、寝癖の付いたまま出勤していました。ヒヨコのようで可愛いいとも思っていました。

剛とゆうこの別れ

その頃高野女史は半同棲していた彼氏から”別れよう”と言われていました。3年の海外赴任をする彼についていきたいと言えない高野女史が、一緒に来てくれと言えない彼と別れる日の夜。剛(つよし)が帰ろうとするのを家に寄って行かないかと誘います。

すぐ帰るからという剛に「ちょっと飲もうよ。この間開けたワインも残っているし」とTシャツに着替えた彼もお酒を飲み泊まることにしました。こういうこと言うと気持ち悪いかもしれないけどと前置きして「俺の荷物送るときにゆうこさんの大事にしているもの一つくれないかな。なんでもいいんだ。」といいました。大事なものがわからないと言う高野。

ベッドに入って話しをする二人。剛に言わせるとゆうこさんは(何かがしたいと言うより「べき」か「べきじゃないか」を指針に生きてきたんじゃないか?)普通そうなのではないのかと聞く高野に普通はわからないが欲望や願望をエネルギーにして生きている人は多いと思うと言う剛。ゆうこさんの言うことは、同じ「べき派」の自分は理解できるというのでした。高野も私たちはよく似ていてそれで仲良くなったのだったと思っていました。

最後に悪あがきとして彼の股間に手を入れセックスをしようとします。「ゆうこさん、ゆうこさん」という彼にまたがる高野。「何。ダメ?」「だめじゃないけどするべきじゃないよ」という剛。君の主義と同じく”するべきじゃないと思う”といいます。高野自身、自分の欲望が曖昧なことを自覚していました。

最後は別れたくなくて駄々をこねてみたかったんだ。だからここは君の確固とした「べきじゃない」を尊重するべき。そして「くっついて寝てもいい?何もしないから」剛はもちろんと言いながら二人はそのまま何事もなく眠りにつきました。

翌朝雨が降っていたのでこれ使ってと言い彼に傘を渡しました。「気を付けて」「ゆうこさんも」といって彼氏を見送りました。後日、高野は29歳になっても自分の大切なものがわからない。なさけないね。代わりと言ってはなんですがいいなと思ったものを送ります。(そうです晃平が職場で配っていた卵焼きと同じものでした。)甘いものが苦手な剛も気に入ると思うと、シラスとのり、刻んだネギの卵焼きを作り3/4を君に、残り1/4は私が今から晩酌のあてにします。本当にお元気でね。という手紙を添え荷物を送りました。

晃平の失敗

高野女史が彼と別れて1年以上過ぎたころ、晃平はあっちゃんともうすぐ結婚かと思っている矢先でした。仕事の帰り高野女史は後輩の晃平に「どっか行く?」とホテルに誘いました。まんざらでもない晃平は避妊したもののコンドームが外れ避妊に失敗します。職場で体調不良の高野女史を見ていて妊娠しているか尋ねました。

高野女史から”妊娠したこと、一人で育てるから”と言われたこと等誰にも相談できず、ストレスから晃平は帯状疱疹と副睾丸炎を併発してしまいます。晃平の母親が友人と近所のホテルに宿泊する予定で、息子夫婦と食事でもと思ってやってきていました。

晃平が家で寝ているから、ありあわせだけど家で食事しないかと義母を連れてあっちゃんが帰ってきました。食事をして話をした後、あっちゃんは義母を見送りました。寝たまま晃平はあっちゃんていいコだよなと思って心苦しさでいっぱいでした。心配してあっちゃんが晃平にうどんを作ってくれました。七味をかける彼女に「あっちゃん、俺、子供出来た。」と告白します。

晃平は「妊娠の話を聞いて、毎日どうするのがいいか考えていた」とあっちゃんに話しました。「つらかったでしょ、楽になった?」という温子。「正直で誠実で嘘のつけない性格の晃平に、私に話すことで秘密を抱えなくて済むし、分担する人が一人増えて晃平は気が楽になった?」というのだった。あっちゃんはあたし今日外に泊まると言って出て行きました。「あっちゃん僕が出ていく」と言う晃平に病があるからと、ここ以外のところに行くと言って彼女が出て行きました。

マンガ喫茶で一夜を明かし弁当屋に出勤したあっちゃん。友人のトモヨから、あっちゃん体調悪いのか?なんか今日の味付けコショウが効きすぎていると言われました。晃平は家で洗濯ものを干しきれいに部屋を片付けあっちゃんを迎えに行きました。

晃平は母親がお土産にくれたこけ玉の横に飾るフィギュアをあらかじめ買っておきました。そして唯一作れるメニューのグリーンカレーをつくっていました。カレーの唐辛子をかんだあっちゃんは、”泣いているんじゃないから”と言いながら涙を流していました。晃平の脚を蹴ったりパンチを入れたりしつつ、晃平は何度も耐えながらあっちゃんを慕いました。

こんなことで子供ができたことが、うやむやになるとおもったら大間違いだよと言いました。全然思ってないよ。あっちゃんのことが好きでこれからも一緒にいたいと思っていることを晃平は話しました。大っ嫌いになれたらいいのにと思うあっちゃんでしたが晃平にキスしてといい、そのまま二人は仲良くセックスもして眠りました。

高野の揺らぎ

職場であっちゃんはソファーで休みながら働いていましたが、閉店頃には立っておられずうずくまっていました。一方悩んでいる晃平は体は回復していましたが海に来ていました。高野からの電話で仕事帰りには今後の話をすることにしました。

喫茶店で晃平は高野に話し始めました。「僕にはご存じの通り恋人がいて彼女がとても好きで一生一緒に生きていきたいと思っています。」すると高野はプロポーズの練習台にされているのか?といいました。高野の言う通り「僕にできることは限られている、申し訳ありません」と謝るのでした。「物理的なことでも金銭的なことでもできる限りのことはさせて下さい」と言って別れました。

その足で高野は出産した友人の京ちゃんに育児のことを聞きに行ったのでした。子供を抱かせてもらいながら妊娠していることを話ました。「誰の子?」「私の子。」よっぽど事情があるのか尋ねる友。よっぽどっていうか偶発的なことだし、彼にはパートナーがいると言う話をしました。近くにいつでも頼ったり助けてもらえる人がいないのは本当にきついよといいました。

責任取って結婚とかじゃなくても、一番大事な時に男の人の力と手を2本借りられたらすごく助かると思うよ。もう決心したし、話もしたしという高野。話しだって何回したっていいんじゃない。迷ったりひよったり、揺らぐのを無いことにするときつくなるんじゃないかと京ちゃんはアドバイスをくれるのでした。

高野女史は出産子育ての具体的なアドバイスをもらうはずだったが、違う部分を揺さぶられてしまいました。ジャンクフードを食べたくなる妊婦高野は晃平が言っていた言葉を思い出していました。(僕は彼女のことがとても好きで)わかってるよ。だから最初から何にも求めてないし。(一生一緒に生きていきたいと・・・)わざわざ私に宣言するのは、自分の気持ちの整理のため。(申し訳ありません)食べ終えたポテトの容器を握りつぶした。

晃平から(避妊に失敗して)精子を提供してもらい、どうしても手に入れたいとか、絶対これをやりたいと思うことが無かった高野女史にしてみれば、シングルでも妊娠できたという子宝チャンスを初めて逃したくないと思うのでした。

「いやいやいやいや、セックスしたのも産むことを決めたのも自分の意志なのに、今になって何をぐずぐずと。今、頭と心がバラバラ」と思いながら晃平に電話しました。そして「今日の岩城君の話、自分だけすっきりしてそそくさと帰ってなんなの。思い出したらムカムカしてきた」岩城はひたすら謝りました。「でも君にそんなこと言っても仕方ないし言えないよ。今日の申し訳ありませんってやつ。あれすごい嫌だった。謝ってなんてほしくなかったんだ絶対に。」高野は男らしくない晃平が好きだったが、事故の加害者のように高野を被害者として謝る晃平が許せなかった。

あっちゃんが寝ている隙に高野の家に行きました。体によさそうなおかゆや黒酢、ゼりーなど買い込んでいきました。夜訪問したものの腹ませた先輩に何を話していいかわからない晃平は、昔このあたりにあったアパートの話などしました。

すると高野が話し出しました。「一切関与しなくていいとタンカを切ったくせに唐突にあんな感情的な電話したりして、まだまだこれからなのに小さいことに不安定になって、迷惑かけて本当に申し訳ない。こんなんじゃ岩城君不安で怖くて仕方ないよね。言いたいこと言ったらすっきりした、しっかりします」と言いました。

晃平は自分は鈍いので、要望を具体的におり交ぜて言ってもらえると助かります。そしたらできる限り対応しますからというのでした。「わかったありがとう」と高野の言葉を聞くと晃平は帰ることにしました。

帰りのタクシーのなかで、高野のお腹ばっかり見ていたことを自覚しました。しかし、中途半端な父親気取りはよくないとも思いました。仙台に出張した晃平のいないアパートに友人たちが集まり温子は晃平の浮気の話をしましたが子供ができたことは話しませんでした。

実家は野菜農家

友達を見送った帰り道、晃平から(子供出来た)と言われたこともショックだけど、相手の女性が(一人で育てられると言ってます)これも後から効いてくるショックだと思いました。一人でも育てられる経済力のある人なんだ、と相手の女性のことと比較して、同じ立場だったら低所得の自分には無理だと思いました。

そんな時”よねすけ”に大口の弁当注文の話が舞い込みました。毎月のことで仕入れなど不安要素がお店側にありました。晃平に”ちょっと実家に戻ります。明日には戻ってきます。”と置手紙をして野菜の仕入れの交渉しに行きました。

義母のケイさんがちらし寿司をつくって、兄嫁は酢豚を持参していました。兄の長男がそれらを無視するように”グラタン”というのでした。去年食べておいしかったから覚えているのと兄嫁が言いました。それはあっちゃんと兄の亡き母親が作り方を教えてくれていたグラタンを再現したものでした。野菜の交渉を始めるとケイさんが妊娠中であることがわかりました。(孫が年上で、子供が年下)兄も驚いていました。

夜兄たちが帰っていき、後かたずけしながら台所が使いやすくなった、ケイさんが使いやすいようにしてくれたらいいと温子が言いました。台所にいるあっちゃんの後姿を見て、お父さんは亡くなった奥さんが立っているかのように錯覚していました。

縁側であっちゃんと久々親子で話しをしました。晃平君も元気でやっているのか聞いてきました。元気だよと言いながら、あっちゃんは一人で暮らすかもしれないことを話しました。晃平君と何かあったのか?とお父さんは心配しました。「色々考えたらちょっとね」とあっちゃんは言い淀みました。「困ったことがあったらいつでも言うんだよ、お父さんにできる事なんでもするから。」と言ってくれました。

その夜、夢の中で家族それぞれに遺伝子のらせんが見えたあっちゃんはその中に入りたいと思いました。夢の中の晃平に子供を作ろう、結婚もしようと話す温子。しかし晃平は、「俺、もうこっちで始まっちゃったから。あっちゃんは、まだまだいけてるし、性格も頭もいいから大丈夫。そんなに俺に執着することないよ」というのでした。なんでそんなこと言うのか尋ねると、「日本は一夫一婦制だから。俺のこと好きだった?ひとりがこわい?俺たち大人になる時が来たんだよ」と子供の母親と同じらせんの中に入っていくのでした。

夢見ながらすごく悲しくて涙を流していたあっちゃんは、起き上がり居間に行きました。昔から悩み事がある時していたように、急須でお茶を入れソファーで飲んでいました。そこへ「相変わらずヨタカだねあっちゃんは」と、お父さんがやってきました。

お茶をもう一つ入れ、床に座って話し始めました。居間に仏壇が作られていて、ここなら明るいしお母さんも嬉しいと思うという話から、いっそ家を建て替えようかと話していたのをケイさんがみんなが住んでた家を失くしちゃダメだってすんごい頑固でねと話しました。

「あっちゃん、赤ちゃんが産まれても当然ずっとお父さんはあっちゃんのお父さんだ。ここはあっちゃんの家なんだからね。今日はあっちゃんが台所に立っているの見て、お母さんにそっくりでびっくりした」と話すのでした。翌朝東京へ帰る温子をお父さんが車で送っていくといっていました。お天気がいいから歩きたいとあっちゃんは断りました。故郷の道を歩きながら、どこでだって一人でも生きていけるだろうと思いました。

温子の病

家に帰って来た晃平はあっちゃんの置手紙を見て喧嘩した妻が子供連れて実家に帰らせていただきますと言うのを想像しました。電話がつながらないことの不安もありました。翌日仕事から帰るとソファーで寝ているあっちゃんがいました。あっちゃんのひざに顔をうずめる晃平。携帯がずっとつながらないからめちゃくちゃ焦った、手紙が三行半(みくだりはん:昔、子供ができない等の理由で奥さんを離婚する時に夫が書いていた離縁状が3行半の文面だった)みたいだったといいました。優しくあっちゃんに頭を撫でてもらい不安だった晃平は落ち着きを取り戻しました。

翌日二人で出かけました。なっちゃんの誕生日プレゼントの包丁を買い、ついでにお店の包丁を研いでもらいました。退屈じゃなかったかと聞くあっちゃん。全然これデートでしょという晃平。あっちゃんはデートだったのか?!と思いました。

ウナギを食べ、ラブホテルに宿泊し仲良く泡のお風呂に入りました。泡立った浴槽に晃平とあっちゃんが並んで」入りちゃぷちゃぷして楽しんでいたら、温子は浅尾の父と義母に子供ができたことを話しました。表状を変えた晃平にお湯鉄砲をぴゅーっとかけて温子はお湯から出ました。終始お腹の不調を訴えていた温子。Hなしで寝ながらこれからのことを少し話しました。

あっちゃんは、晃平が自分の都合で無理やり堕胎させるような人でなくて良かったこと、自分の為に相手の人と赤ちゃんを否定するのは嫌なの。今はそうなんだけど、これからどうなるかわからない。とらわれることもあるだろうしすごく黒い気持ちになるかもしれない。晃平といると私はそれから離れられないんだよね。それって結構なんぎなことかなって思ったりすると言いました。

晃平はやっぱりあっちゃんと一緒にいたいそれは1ミリも変わらない。償いたいし、信頼を回復したい。それだけと言いました。焦らないで考えてみると言いう温子でしたが・・・。

翌日の朝あっちゃんと晃平はそれぞれの職場に出かけていきましたが、お腹の痛みが強くなったあっちゃんは、出勤途中にトモヨの携帯に「今日休ませてください。原産婦人科に行きます」と留守電メッセージを入れ、自転車をおいてタクシーで病院へ向かいました。看護師さんに支えられながらトイレで吐いていました。点滴をしてもらい検査入院となりました。

高野女史は母子手帳を発行してもらい仲の悪かったお母さんに電話して料理屋に行きました。東京で出産し、実家で育てるから協力してほしいと状況を説明しました。相手の男性を当てにしない代わりに親を頼ってるみたい、厚かましいんじゃないかしらと言われました。自宅に戻った高野女史は「とうに諦めていたはずなのにこの期に及んで、まだあの人に期待しているんだ私」と泣いていました。

温子の入院

あっちゃんは点滴を受けながら、店や晃平に連絡しなきゃなあ、お父さんは心配しそうでちょっとなあと思っていました。晃平がトモヨに病院を聞いてあっちゃんに会いに駆け付けました。職場の昼休み同僚の立ち合い出産の話を聞いていて、自分も怖いけどしてみたいような気がしていた晃平でしたが、そんな場合じゃないような表情を見せていました。

そこで手術まで数日自宅静養する話、子供が産めなくなるかもしれないということを晃平に話しました。翌朝自宅で出勤前に昨日の温子の話を思い出しながら卵をフライパンに落とす晃平。(晃平、わたし子供産めなくなるかもしれない。卵巣に腫瘍ができてて、左右両方とも晴れてるんだって、右は10cm近くに・・・)朝食の臭いに駆られてあっちゃんが起きてきました。「丸二日寝てばっかだもん、寝るの好きだけど飽きてきちゃった」というあっちゃんに無理しないでねと気遣う晃平でした。

事務所を辞める高野女史は仕事の引継ぎを晃平としました。晃平はやっぱり認知させてくださいと申し出ます。家に待機していたあっちゃんは鬱屈とする自分を、外に出る事で励ましていました。そして足はいつもの職場に向かうのでした。木本君の調理師友達がバイトで入るから心配いらないことをトモヨが話しました。

あまりそうだからと木本君からおかかのおにぎりをもらい一人公園で食べていると、梅でした。弁当屋でも(無理しないで、全然大丈夫だよ。こっちはちゃんとやれてるから、ゆっくり養生してて)と言う皆のやさしさと、梅のその清い酸っぱさが温子の硬い気持ちにしみて、よけいに泣けてくるのでした。

時に温子の気分はバイキングの船みたいに大きく揺れることがありました。そのスイッチが入ると晃平をいたぶるように話始めます。今日は朝洗面所で晃平が歯磨きしている時でした。

「はらませた妊婦さんと結婚すれば。それで二人で協力してイクメンになれば。やっぱりそれが一番まっとうだよ。」

温子を横目で見ながらうがいする晃平は「しないよ。ていうか俺はあっちゃんと結婚したい。」温子は自分はお見合いしたいと言います。「え~」という晃平にそういう権利ないと思うと言います。「じゃあ俺もお見合いについていく」と返すのでした。「何それ変だし絶対やめてよね。」

私見苦しい?と聞く温子に、全然見苦しくないよという晃平でした。「心がこもってない、ちゃんと慰めてよ」という温子でした。晃平は「あっちゃんに何を言われても、無視されるよりずっといいよ」というのでした。温子は彼の困り顔を見ると落ち着くのでした。

その後友人のなっちゃんが、お酒の店見つけたから行かないかと誘ってくれました。今体調が悪いことを話しました。二人は東京から2時間で行ける近場の温泉に出かけることになりました。

あっちゃんは晃平に子供ができたこと、自分は卵巣をのけて子供が出来なくなるかもしれない、という話をしました。結婚も子供もまともに考えてなかったくせにいざ産めなくなるかもって状況になったら急に取り乱したり感情的になったり、思うままに晃平をいびったり。最近すごく混乱していることを話しました。

なっちゃんは「そりゃ仕方ないよヘビーな状況だもん。晃平君だって一人で抱えて自分だけつぶれちゃうよりずっと健康的だって、よくわかっているでしょ。」なっちゃんの恋愛は相手が既婚者だったことから、すぐに別れたという話をしました。

翌日病院に行ったら手術予定日が来週の水曜日になったことを医師から告げられ病院のトイレで「ハンカチ忘れてませんかと高野。「ありがとうございます。」とあっちゃん。二人は接触していました。

温子が簡単な荷造りをしているのを見て、帰宅した晃平が声をかけました「あっちゃんどっか行くの?」温子は明後日から入院すると話しました。晃平は「手伝う」と言い神妙な顔で下着を小さく畳みました。「ちょっとやだー、大げさだなー。お骨拾うみたいに人のパンツしまわないで」と明るく言うのでした。「こういう時、自分は何も出来ないんだって思ったら、すごい情けないし悲しくなって」と落ち込む晃平に、あっちゃんは快適な病院ライフを送れるように”レク係と図書係り”やって欲しいと伝えました。

あっちゃんは自分がうける手術の話がありました。「CT画像から大きな右側の腫瘍は皮様膿腫の可能性が高い。腫瘍の中に髪,歯,筋肉など卵子の元になる細胞が異常分裂して増殖した腫瘍だからその過程でそういうものを作っちゃうの。」という医師の話を聞きました。

あっちゃんは晃平にブラックジャックのピノコの巻が読みたいと言いました。右の腫瘍に入っているようなものでピノコが造られているからという理由だった。

認知の相談

晃平は仕事帰りに法律に詳しい友人に居酒屋で認知などの相談をしました。もちろん自分の友人がという設定で話すことにしていました

認知とは、戸籍と養育費と相続権について子の権利を認めて責任を持つこと。金のからむことなので弁護士と示談書か公正証書を作成した方がお互いに安心だとは思う。特に明確にするのは養育費の金額と期間。

認知というのは男に選ぶ権利はない。腹ませたら自動的に義務が発生するのだけど、現実問題その義務を果たし続けている男は少ない。」という話を聞きました。友人「結婚しちゃえばいいんじゃないの?腹ませた相手と」いや、そいつ彼女いるからという晃平。彼女と婚約してないことを聞くと「お互いに人生を新しい方向に切り替えんのはありだと思うよ。彼女だっていやでしょうそんなややこしい男」というのでした。「・・・どうかな」晃平は言葉に詰まりました。

「産ませて認知だけの方向で行くなら子供に一生あわないくらいの覚悟したほうがいい。でないとせっかく選んだ彼女ともうまくいかないよ。少なくとも俺が見てきた人たちはそうだった。」とアドバイスをくれました。

そして我が子は可愛いと言う話をしました。嫁も好きだけど愛しているのは娘だけと話す友人にそういうもんか尋ねると、そういうもんだと言われました。そして「あっちゃん元気?」と尋ねられると晃平の中でいろんなことが渦を巻いていました。

俺はなにかを?誰かを。愛しているのか?そんなこと、あっちゃん愛してる?俺は俺がわからない。高野さんは?ないない。じゃまだ見ぬ子供は?そんなわけない。「愛する」ってのが自分の子にしか適応されないのなら、(温子のあたし子供産めなくなるかもしれない)という言葉を思い出しあっちゃんは、あっちゃんは・・・。と心配するのでした。

あっちゃんは、病院の中庭でお父さんに電話をかけていました。偶然に病院廊下で会った高野は、晃平が妊婦の自分を心配して会いに来たと勘違いしました。(あらまあどうして。けど、でも。と内心喜ぶ高野女史)「こここんにちは。」と晃平。「だからさ、お父さん仕事あるでしょ。来てもらうとかえって気を使うから」と高野女史が話しました。

「晃平来てたんだ」と声をかける温子。高野を見ている晃平に温子心の声は(こっち向いて)。右方向向くと温子がいて驚いたような表情の晃平がいます。

自分に会いに来たわけじゃないことがわかった高野は、「初めまして。岩城君の・・・。」晃平が「一緒に暮らしている浅尾温子さんです」と紹介しました。(やばい、やばすぎる)晃平心の声。「あっちゃん、こちらは会社の先輩の高野さん」と温子に話しました。(いや落ち着け、やばくない)と晃平。

「この間はありがとうございました」と話し出す温子。「なんだかあんなところでね。」「ほんとですね。」とさりげない(ハンカチ拾った)接触した話をしました。晃平にとっては地獄絵図に写りました。私そろそろ行くねと高野は帰っていきました。

中学英語の教科書みたいな会話だったねという温子に、晃平は「高野さんと会ったことあるの?」と尋ねました。この間病院のトイレで、それだけだよ。私はね。妊娠した相手が高野であることを、あっちゃんが気づいたか気になる晃平でした。あっちゃんは妊娠した相手の女が高野だと、気が付きました。また明日来るからと晃平も帰っていきました。

自宅の部屋に戻り高野女史は、晃平の「一緒に暮らしている浅尾温子さんです」と紹介された彼女を思い出していました。産婦人科てことはやっぱり・・。いいんだ私はこれさえあればとお腹を触り、胎児のエコー写真を見るのでした。

温子の受難

執刀する荻医師から実際卵巣を見てみないと温存可能かわからない。症状が進んでいてもしくは悪性の部分があれば両方とも全摘する可能性があります、そうなると妊娠は不可能になります。それを理解し納得したうえで手術に同意して下さい。という話を聞きました。

温子が、手術中は寝てるだけだし大したことないから仕事休んでまで来なくていいよと言う話をしました。晃平は、「くるよ。俺のことだから俺が決める。俺が仕事休んで来たいからくるよ。」というのでした。「退院したら何が食べたい?」と聞く晃平に、日本酒とつまみをいろいろと伝えました。晃平は退院したらお祝いしようと言いました。そして温子を乗せたストレッチャーは手術室に入っていきました。

手術の途中、摘出された右の嚢腫の中身を晃平が確認しました。「左は子宮への癒着が激しい為、摘出にあと3時間かかります。できる限り卵巣温存の方向で進めますが全部残すのは難しい状態です。」と執刀医の荻(おぎ)は晃平に説明し再び手術室に向かいました。

温子退院の日

あっちゃん退院の日、晃平は出張で温子の父はぎっくり腰の為、友人のなっちゃんが付き添ってくれました。リアル子づくりしてみたらというなっちゃんを見送り、電車のホームで別れました。

あっちゃんは右の卵巣・卵管全摘出、左は卵管と卵巣の1/4が残りました。理論上は残された1/4が機能回復すれば排卵は可能です。但し浅尾さんの場合、自然妊娠の可能性は非常に低いものとお考え下さい。と医師の説明を聞いてショックを受けました。

あっちゃんの摘出された右の卵巣には、妊娠はしてないのに細胞の増殖により髪の毛や歯、骨、脂肪組織などが入っていました。あっちゃんは退院するときそれをもらい受けてきました。我が子のようにかわいいと瓶に入れてテレビの横に置いていました。

晃平は、またタイカレーでごめんと言いつつも夕飯を作ってくれていました。気を使わなくていいよと言う温子に「俺こんなもんでしょ、前から。」「忘れたよ」という温子でした。「晃平は優しい」という温子に、それじゃ遠慮しないで気になったこと言うと。TV 横に置いた髪の毛等入れた瓶を指して、「あれどーかな?」

「可愛い」と言う温子。晃平は気持ち悪い?と聞くと、晃平は「かわいくないし、ああいうとこに置くもんじゃないでしょ。」と言うのでした。あっちゃんは私のトレジャーコーナーだから好きなもの置きたい。「気持ち悪いんだね。」「気持ち悪くないよ」と晃平「じゃあ怖いんだ。怖いから見たくないんでしょ。」とあっちゃんに言われました。困った顔の晃平。

翌朝早く仕事に行くと言って、あっちゃんはアパート裏の墓地にTV横に置いていた瓶をもっていきました。(ごめんね、持ってると免罪符や意地悪い姑のように。ずっとネチネチやっちゃいそうで)と埋める理由を話しながら、木の下に穴を掘り我が子のお墓のように大事に葬ってやりました。あっちゃんの後出勤する晃平がテレビの横の瓶が無くなっているのに気が付きました。

電車に乗って、心の中で怖くなんかないといえばよかったとも思ったが。あれは髪だし。(晃平には愛情とか何も感じないただの物体にしか見えなかったのだった。)

職場に復帰できたあっちゃんを仕事終わりにトモヨと木本君が「退院おめでとう」と菊の花束やザクロをくれました。なんか新しいことがしたいなあと思いだしたあっちゃんでした。家の食卓で野菜の原価計算などしていましたがうたた寝していました。晃平がちゃんと寝た方がいいと布団に寝かせました。あっちゃんに肩を噛まれ痛がる晃平は、回復したてのあっちゃんと丁寧なセックスをしました。

危ういモヤモヤをうやむやにする、言葉を使うより黙って肌に触れる方が楽なときは確かにある。それが慣れ親しんだものならばおさらだ、こうやってなんとなく晃平と続いていくのかな?と思う温子でした。

その日は高野の送別会がありました。おなかに子供がいるからと勧められるお酒を断りました。皆におめでとうと言われました。送別会が終わるとすぐに帰っていく高野でしたが晃平もみなと別れて二人タクシーに乗り高野の部屋の前まで来ました。

ごめんね、子供のことすごく話したくなっちゃったのという高野に、晃平はおめでとうと言われるのが自分も嬉しかったですと話しました。「嘘だー。すっごい固まってたでしょ」と高野女史に言われました。「最初はびっくりしたけど。おめでとうございます。」と言いました。そして認知したいこと、何かあったら連絡してください。電話番号は消さないで欲しいと話しました。「わかった」と言う高野。あっちゃんが今日なっちゃんとすごすから朝まで帰らないとメールしてきたことに晃平はちょっとほっとしていました。高野のことも一段落着いたとも思いました。

あっちゃんの退院祝いしてないこと来月誕生日だから思い切ってハイセンスなプレゼント企画をしようと思いました。旅行なんかもいいかも。温泉、沖縄。いっそ海外か。休みとれるかな・・。新婚旅行ならとれる。晃平の中ではそろそろ結婚してもいい頃だと思いました。

翌日の夕飯時、仕事から帰って来た晃平に朝帰りを謝るあっちゃん。若いねーと容認する晃平。上司が辞めてしばらく仕事が忙しくなることをあっちゃんに話ました。「病院であった人?」「鋭いね」という晃平。鍋を囲んで、同時に相手の名前を呼ぶ二人。あっちゃん先にと促すと「あたしこの家出ようと思うんだ」と言いました。

理由を聞く晃平に「あたしも晃平も煮詰まっていると思う、少し離れてそれぞれ考えてみようよ」というのでした。あっちゃんは近所にあるアパートに引っ越しました。トモヨのおじいさんが所有している家電付き、敷金礼金なしの物件でした。半日休暇をとってなっちゃんが手伝いに来てくれました。

この期に及んでどうして別れないの?というなっちゃん。浮気は事故みたいなものもあると思うけど、子供ができたって言うのは全然違ちゃうよね、続いていくんだもん。」「うん、全然違う」とうなずくあっちゃん。そして「あっちゃんはモテるし、色んな可能性がうんとあるんだからね」と真面目に話すのでした。なっちゃんが帰っていきました。

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新しい恋人

あっちゃんはアパートの部屋の中でくつろぎながら、この独りぼっちの心もとない感じは、久しぶりだと実感しました。そして一人夕飯の為そば屋に来ていました。

そばを食べている時、お父さんから「予定より早いけどさっき女の子が生まれた。ケイさん(義母)も赤ちゃんも元気。もしもしあっちゃん?」間があき浮かない声で「おめでとう、写メール送ってね。」「あっちゃんも会いにおいでいつ頃来れる?」と有頂天な声の父親に「待ち合わせの友逹が来たからまた連絡するね」と嘘を言って電話を切りました。お酒の追加といたわさびを頼みました。

すると涙が出てきました。「あたしは泣くほどショックを受けている。何に?義母に赤ちゃんが産まれたこと?自分には無理だって思い起されて?」この吉方を疎ましく思うどす黒い気落ちの存在と、これを一生抱えていくのかという予感に泣いているのでした。

家で泣けばいいものを蕎麦屋で泣くなよ、と自分でも思いましたが涙が出るのをとめられませんでした。ラストオーダーです。飲みましたか?と蕎麦屋の次男坊石田純から「そばつゆ嫌じゃなければどうぞ」と勧められました。開いていたのを見られてちょっと恥ずかしくなり、一杯だけ頂くことにしました。両手でコップを包むように飲み、気持ちが落ち着いたところで帰りました。

別居後に「急にごめん」と言いながら晃平が温子のアパートに焼き鳥とビールをもってやってきました。あっちゃんが「食べよう。」と言いうと、初めてあっちゃんの部屋に行った時のこと思い出したという晃平でした。あっちゃんに今の生活に慣れたか聞く晃平。温子はけっこう楽しくなってきたと返事しました。

晃平は「すごく寂しい。あっちゃん、俺やっぱり戻ってきて欲しい」と正直に話しました。「結婚しよう」と言いましたが「晃平のことは好きだけど今は結婚とか考えられない、あたしに対して責任感じることないよ」と温子は言うのでした。晃平は「あっちゃんに対して責任負いたいんだよ」と話します。その後温子は返事しませんでした。あっちゃんが見えなくなる、でもめげねーしと思う晃平でしたが・・・。

切迫流産の初期の高野は静岡のいけがみ産婦人科にいました。高野母の半同棲相手の源三が晃平に何度も電話をかけ呼び出しました。まだ子供はお腹にいるからと高野が言いました。温子との間にできた子供ではないけれど、自分の血を引く我が子が生まれるのを楽しみにしていた晃平は「ああ、良かった」と安堵していました。金曜日だったので、日曜までこっちにいます。といって晃平は源三と二人、出張中の母の了解を得て高野の実家に泊まりました。

高野母の半同棲相手の源三は、庭の手入れや料理などができるまめな男でした。「何もできないのにやってきて余計なことしたかな」と晃平が話すと、「ゆう子さんがすごく嬉しそうに見えた。安心したんじゃない?」と話す源三。

晃平は村治源三に「僕らのこと大体ご存じですか?」と聞いた。「そうねひと通り」と彼は答えました。「僕は最低でしょうか?」と聞く晃平に「そんなことないよっていったらいいのかな?会ったばかりで正直まだよくわからないけど裕子さんは。しあわせだと思うよ」と言った。

どうしてなのか聞く晃平。「一人でも産みたいと思えたこと。実際とても前向きに準備していること。それにシングルは大変だろうけど、彼女ならなんとかやるだろうって思わない?」核心を突く源三。「思います。」「子供を心待ちにしているおせっかい爺さんもいるから。晃平君あなたも幸せになりなさい。」と高野と晃平のことをよくわかっている源三でした。晃平は「はい」と返事していました。

日曜の午後高野に挨拶してこうへいは東京へ帰りました。子供のいるお腹を触らずに握手だけしたのは遠慮か逃げか?高野さんに触れたのは1年ぶりだなあと晃平は思っていました。

数日後、弁当屋に石田純君が弁当を買いに来ました。温子に「元気がでましたか?」と聞いてきました。あの時の蕎麦屋の店員さんだと思い出しました。仕事からアパートに帰って来た温子は池田の出現が昔あった”恋の予感”ってこんな感じだったっけ?と思っていました。

大容量の冷蔵庫を購入すると晃平との別居が決定的になるかもしれないと、ためらったものの温子は購入していました。そこから半月型に切ったスイカを取り出しきれいに食べました。先日までの晃平の話を思い出している温子。(うどん作った日:あっちゃん子供出来た。)(昨晩:結婚しよう。俺は責任負いたいんだよ)を思い出し、ムカムカしてスイカの皮を真っ二つにおりました。

翌朝、弁当屋に出勤した温子。店の前に石田がやってきて温子の名前を聞きました。気が向いたら連絡してくれたら嬉しいですといって名刺を渡しました。

高野に付き添って家のある静岡まで行っていた晃平は、あっちゃんに渡そうとお土産の黒はんぺんを持ってアパートの前で帰りを待っていました。そこへお酒を随分と飲んだ温子をタクシーで送ってきた石田君と遭遇します。

彼が帰った後「あのひと何?」と聞く晃平、あっちゃんは「そばや」と言います。「なんで蕎麦屋と」「家はそばやだけど自分はサラリーマンなんだって」「そうじゃなくて」と詳しい関係性を聞きたかった晃平でした。温子は色々話しますが酔っぱらいの話でらちが明かず、晃平からお土産をもらって温子はさっさと部屋に入りました。

あっちゃんが出て行ってから水泳を始めた晃平。あっちゃんがいつも少し辛そうで、怒こっているのか悲しいのか俺を軽蔑しているのかわからない。と彼女のことを思って決意を固めました。

あっちゃんは石田君から今週末に築地デートのお誘いメールがきました。その後に晃平から電話がかかり「今から話したいから店に行ってもいいか聞かれました」明るく「うん」と返事する温子でした。生活が別になると知らないこともお互い増えて、距離ができてきたと実感する温子に「俺たち終わりにしよう」と晃平が言います。そして二人は別れました。

その後あっちゃんは石田君とお泊りしたり徐々に深い仲になり始めますが、温子は早い段階で子供が産めないことを話します。また何かと石田君とのずれが出来るだろうことも感じていました。子供が出来ないのは気にならないと言う石田君でしたが、若いから今はいいけど将来はそうでもないだろうと、付き合いをやめることを告げました。そして自分にはやりたいこと(養子縁組して子供を育てたいおとうさんが必要。やっぱり晃平がいい。)が見つかったからそっちへ進む話をし石田君も彼女を理解して別れることにしました。

傷心の晃平は有休をとって東尋坊に行きしきりに反省していました。帰りの東京駅でお世話になっていた元職場の特許事務所に挨拶に行ったかえりの高野を見つけます。二人新幹線に乗り家まで送りました。新幹線の中で東尋坊へ行っていたことを話すと崖の気分だったのか?ふられたのか?私のせいか?と聴く高野でした。晃平は「俺のせい」というのでした。

高野は個人自部署を立ち上げるので一緒にやらないかと誘います。晃平はプロポーズか?と尋ねるが結婚には興味ないと言います。高野が求めているのは、都合のいい男の晃平なんじゃないかと言います。高野も認めていました。

職場の独身男3人とナースの女性3人の合同コンパに晃平も出席します。彼女たちは綺麗でいい匂いもするけど、あっちゃんと違うと思ってしまいます。気の合う看護師さんとお酒を飲み、話すうち次どこかへ行きましょうと言うことになったが、晃平は高野とホテルに行った日の情景を思い出しました。タクシーを拾い帰ろうと言いますが、看護師は一人で帰ると言って去っていきました。

家族になろう

温子は長年一緒にいた晃平が自分と合うことはわかっていました。晃平だけが住んでいるアパートに戻り晃平にプロポーズするのでした。晃平は「結婚します、して下さい」と即答し嬉しさに泣いていました。プロポーズを断られたのになぜ今結婚する気になったのか聞く晃平に「家族が欲しい相手はやっぱりこうへいがいいの」というあっちゃんでした。

矢継ぎ早に話す温子に「僕のこと好き?」と晃平が聴きました。温子は好きだと言います。「声小っさい。タメもあった」という晃平でしたが、「世界で一番こうへいのこと信頼しているよ」とあっちゃんが言いました。面白い顔しちゃってと晃平を抱きしめました。今日泊まっていく?と尋ねる晃平に明日早いからと帰っていく温子でした。

後日二人は初めて婚姻届けを出しました。晃平は高野にも結婚報告をしました。祝福の言葉をもらいました。温子の実家に入籍報告に行った二人。晃平の両親と新婚旅行にハワイへ行きました。

出産間近の高野の出産に立ち会おうとする晃平でしたが、生物学的父親の立ち合いを好まない高野は別の日に出産していました。すでにマンションに赤ん坊と帰っていました。我が子に会い、指を握ってもらって感動する晃平でした。

その後あっちゃんと晃平が特別養子縁組をした娘の琴子が家にやってきました。二人の相談役のぬいぐるみムルタンは琴子と一緒に子供布団に寝ています。高野が産んだ晃平の息子は、母は親に言われてランドセルを買ってもらった、おじいちゃんおばあちゃんにランドセルありがとうという練習をしていました。

保育園に通うまでに成長した琴子は晃平お父さんがお迎えに来ていました。晃平お父さんと歩きながら、琴子がお母さんを迎えに行く?と聞くと「んー、行ってみよっか」と。二人は弁当屋ヨネスケに行きました。店の入り口に入ると、琴子は晃平の足に抱き着いて恥ずかしそうにしていました。少し顔出しして「おかさんただいま。」と言いました。「お帰り琴子」とあっちゃん。三人で築いていった家族がそこにはありました。

物語はここで終わります。

見どころ

たった1回の避妊の失敗から起こる、晃平と温子の溝。別れることでお互いの必要性を再認識し、再び新たな家族と歩もうとするところ。

母が亡くなり再婚した父親と再婚相手の出産。そして子供の産めなくなった温子のかかわり方。

無理やりシングル出産を貫いた自己中の高野。子供の一(はじめ)が緩衝材となることで確執のあった母親と源三の4人で家族になれたところ。

感想

正直この物語は好きではなかったんですが、芸能人の中にもそういう人達っていますし、眉間(みけん)にしわを寄せながら見るのもいいかと思い最後まで読みました。

結婚は面倒でも子供は産みたいと思う女性は多く、妊娠適齢期もあり精子バンクから提供してもらった精子で子供を産んだ女性もかなりいます。成長した子供たちはそうして生まれたことは理解しても、”父親はどういう人なのか?”という情報が大まかにしかわからないことが問題視されています。

この物語では高野女史が好感を持っていた後輩の岩城晃平が生物学的父親なので、比較的満足できる情報がある。成長した子供にも十分納得いく説明が可能と思われます。シングルの女性が精子提供により子供を持つ場合、認知などは望まないのではないだろうか。そういう視点から、高野女史は多分認知してもらうことなくこのまま生活していくような気がします。

浅尾温子のような卵巣嚢腫の患者さんも絶望するより、この物語のように養子縁組という選択肢もあると思いました。またIPS細胞の実用化の発展など医療も科学も日進月歩、進化しています。あっちゃんのような患者でも自分の子供を持てるようになる日もやってくるかもしれない。  (*^。^*)

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